2011年04月08日

 2011年4月 Newsletter: パンゲアリング 村上陽平さん

今月のパンゲアリングは、NICT(独立行政法人 情報通信研究機構)で「言語グリッド」の研究開発を行っていらっしゃる村上陽平さんです。



私は,NICT(独立行政法人 情報通信研究機構)で「言語グリッド」の研究開発を行っています.言語グリッドは,世界中の翻訳ソフトや辞書などの言語資源を共有することができるインターネット上の多言語サービス基盤です.パンゲアさんとの出会いは,この言語グリッドのプロジェクト開始時に行ったシンポジウムで,言語グリッドのユーザ候補として理事長の森さんにご講演いただいたのが始まりでした.その後,パンゲアさんの事務所が京都の我々のオフィスの横に引っ越され,これまで密接したコラボレーションが行われてきました.

プロジェクトは,開始当初から産官学民によるユーザ参加型の体制で進めており,パンゲアさんにはまだ簡単なデモしかできない状態からヘビーユーザとして参加いただいています.当初は,パンゲアさんがそれまでに作成されてきたピクトンと呼ばれる絵文字を翻訳サービスと連携させて,子ども達のコミュニケーション支援を行おうと想定したシナリオで進めていたのですが,プロジェクトが進むにつれて,問題は子ども達のコミュニケーション以前に,それを裏で支えるスタッフ間のコミュニケーションだということが分かり,パンゲアコミュニティサイトの構築に言語グリッドを利用いただきました.現場という説得力のある明確なニーズを持ったパンゲアさんとのコラボレーションのおかげでこのような迅速な軌道修正も可能になったのだと思います.

その後は,いろいろなご不便をお掛けしながらも,パンゲアコミュニティサイトでの経験をフィードバックいただいたおかげで,言語グリッドToolboxの掲示板機能も出来上がり,現在は言語グリッドToolboxをご利用いただいております.また,パンゲアさんの新たなステップであるYMC(Youth Mediated Communication)システムでは,言語グリッドの新たなステップでもある農業グリッドとの連携利用も活用いただきました.

このように率先して新しい技術を活用いただけるのも,研究開発型NPOであるパンゲアさんならではと思います.「必要は発明の母」と言われますが,まさにそのニーズとシーズのループを,パンゲアさんとのコラボレーションで体験させていただきました.今後もこのループを回しながら言語や文化の壁を越えていければと思っています.

独立行政法人 情報通信研究機構
言語グリッドプロジェクト
村上陽平


投稿者 kumakinoko | 4. パンゲアリング