パンゲアは、平和技術の研究開発「ピースエンジニアリング」をミッションとする研究開発型NPOです。
多言語・異文化間コミュニケーションについて、多国参加のオンラインサーベイやアクティビティ拠点での観察などを交えて研究し、アクティビティやコミュニケーションツールの開発を独自に行います。
絵文字コミュニケーション
言葉の壁を越えたコミュニケーションを実現するために、独自に開発しているピクトンと呼ばれる絵文字によるコミュニケーションに関する研究開発を行っています。正確な情報伝達よりも「つながり」を促す情動コミュニケーションを目的としており、アクティビティ現場ではネットの向こう側にいる相手の存在について想像力をめぐらす前向きなコミュニケーションが観察されています。
一方、絵文字の文化的解釈の違いを踏まえた計算機モデルの構築、絵文字メッセージのコミュニケーション分析研究、絵文字のセマンティクスをWordNetなどの言語資源にグラウンディングする研究などを、大学や研究機関などと共同して進めています。
ローカルアクティビティでの非同期コミュニケーションプラットフォームとしてソーシャルネットワークサービスの要素を入れたパンゲアネットを独自開発しました。
多言語ユーザが利用するために文字情報を最低限にとどめ、また従来の一般Webページとは全く異なり、こども達が描いた絵などの温かみのあるアナログ素材が前面に出た直感的なGUIデザインおよびユーザーエクスペリエンスを提供しています。パンゲアネットの世界には、他の参加者への興味を促すための「つながり」の種を散りばめ、パンゲアアクティビティの各メニューとの連動したシステムとして開発しています。
同期コミュニケーション
パンゲアでは同期型のコミュニケーション手法として、異言語および異文化の参加者間で言葉の壁を越えて楽しく遊べるWebcamコミュニケーションプラットフォームの研究開発を行ってきています。
従来のビデオ会議システムは主にビジネス用途で高価な機器などが必要な場合が多かったのですが、本システムは、パンゲアアクティビティでのファシリテーションの概念を取り入れ、言語表現を最小化したユーザーインタフェースおよびアクティビティコンテンツを組み込み、Webカメラとインターネットブラウザがあれば動作する簡単かつ安価に導入できる仕組みとして開発しています。
言語グリッド
言語グリッドは、(独)情報通信研究機構(NICT)が研究開発を推進する、世界の言語資源(辞書や機械翻訳等)を登録し共有することができるインターネット上の多言語サービス基盤で、パンゲアは言語グリッドプロジェクトとパートナーシップ関係
を結んでいます。
パンゲアでは、パンゲア専門用語の辞書を言語グリッド上で構築しています。言語グリッドを使うと、自動的にその辞書を連携させた日本語・韓国語・ドイツ語・英語の機械翻訳機能ができあがるために翻訳精度が高まります。
本機能を利用して、パンゲアコミュニティサイトと呼ばれる多言語掲示板を開発し、国内外のパンゲアアクティビティでのファシリテータースタッフ間で言葉を越えて情報交換や交流を行う場として活用しています。
また、これも言語グリッドがなければ不可能でしたが、パンゲアの独自用語を多用する場面の多いWebcamアクティビティの準備会議において多言語チャットツールを用いたり、パンゲア事務局からパンゲア海外拠点への連絡に多言語翻訳ツールを活用したりしており、言語グリッドは業務効率の向上に直接的に寄与しています。
一方、パンゲアの絵文字であるピクトンを言語グリッドの言語資源として提供するなど共同研究開発活動も進めています。